>事業を始められるまでのソールズベリー様のライフヒストリーに沿って教えていただけますでしょうか?
イギリスの大学院を卒業した時は、インフラ関係に興味を持っていいました。なぜなら国際政治単位で物事が動くこと、大きいことに携われるということに魅力を感じていたからです。世界を変える一人の人物になる、そういう意気込みでインフラ関係の会社に就職を決めました。
ただし、大学の卒業が9月卒業して実際に働きだすまでに時間があいていたので、モバイル系のスタートアップでバイトすることにしました。それまでは、「スタートアップ」や「起業」といったものは自分からとても距離が遠いものだと思っていましたが、誤解を恐れず言えば、「特別な人でなくても起業できるんだ」と知りました。今ではそのバイト先は売り上げ何十億円の会社に成長しています。
>サラリーマン生活をスタートされた後はどのような感じでしたか?
入社して5日目でやめようと思いました。大学生の時は、「花が咲く前」ではないけど、世の中が何も見えていない分、自分の可能性に疑いを持つこともあまりなかったのですが、会社に入った瞬間に会社に居続けたリアルな未来が見えてしました。いくら勤めている会社の事業内容が魅力的でも、年齢を重ねなければ自分が思っていたような仕事は出来ないですし、そうやってポジションを上げられるかはほとんど運で決まってしまうことが明らかだったからです。会社に入る前からそうとは聞いていましたが、経験則として理解できてやめるしかないと思ったのです。とはいえ、お金もなかったですし、ビジネスアイデアを実行に移す方法も知らなかったので2年くらい会社には在籍しました。
>ご譲渡された会社を創業されたきっかけは何ですか?
いくつかビジネスアイデアを考えていたのですが、ある時「なんで僕、香水を持ってないんだろう?」と思いました。それは香水一つ一つの値段が高くて試すことが出来ないからだと思って、「香水を相談しながら量り売りする」というアイデアが生まれました。それまでも香水の量り売りのビジネスはあったのですが、愛好家の間の限られた市場にとどまっていました。
そんな時、香水愛好家がやっていたあるショップがクローズすると知って、これはチャンスだと思い、連絡して残っている在庫の香水をすべて買い取って、セレスを始めることが出来ました。
>会社を創業されてから苦労されたことはありますか?
私が経営のこと全くわかっていなかったから、全てが大変でした。例えば、事業で使った経費のレシートをキープしなければならない等、基本的なことも知りませんでした。他にも、消費税を払うことも知らなかったので、利益が出たと思っていろいろ先行投資をしたら消費税の請求が来てお金がなくなってしまりという失敗もありました。広告に関しても、言われるがまま払っていたら実はコストが見合わず、逆ザヤになっていたということもありました。注文を受けてから商品を製造しているので、注文が来すぎて配送が間に合わないということもありました。
そんなレベルの経営の素人だったので、サイトのSEOが順調に伸びて売り上げが上がっても思ったようにお金が残らなかったり、将来の予測が立てられなかったりと、とても苦労しました。人を雇うまで時間が掛かりました。人を雇って不安になるなら自分が20時間くらい働けばいいかなと思っていました。コロナ禍の混乱も経験しているので、事業の不安と多忙で寝られない日が続いたこともありました。今でも当時のオフィスがあったところを歩くと当時の辛さが込み上げてきて気分が悪くなります。
創業から5年近くでしょうか、苦しいながらも借入もせずやっていたのですが、伸び悩んでいた時に一旦、全て広告をゼロにしてみました。すると、売り上げがほとんど変わらなかったのです。その時、はじめて自分たちのお客さんの大半がオーガニック検索からきていることが分かりました。そこから会社にお金が残るようになり、従業員も雇うことが出来て、会社が軌道に乗り始めました。SEOもかなり順調に伸びて、もう潰れることはないと思えるようになり、気持ちがとても楽になったのを覚えています。今でも「香水」といったかなり一般的なワードのGoogle検索でも1~3位を確保しています。
>譲渡(M&A)を検討しはじめた理由は何ですか?
創業した最初は、「これで食べていけるようになりたい」くらいしか考えていなかったのですが、私が30歳を超えたところで生活面を安定しつつ。いろんなビジネスをしたいと思いました。そのためには会社をM&Aで譲渡することが一番だと考えるようになりました。
また、自分の強みは人を雇ったり管理したりといった経営そのものではなく、ビジネスにおける0→1だと思ったということもあり、次々と新しい事業を作ることをしたいと思うようになったというのもあります。
>譲渡(M&A)を検討する際に、M&A仲介会社の起用することにした理由と起用する際に何か重視した点はありますか?
仲介会社を通さず自分で売却というのはあまり考えませんでした。なぜなら、自分でもM&Aの勉強を勉強してみたのですが、M&Aには高い専門性が必要だと思ったからです。その専門性、特に譲渡価額のバリュエーションは抽象度が高く、仲介会社を通さなければよく分からないまま価格が決まってしまいそうな気がしたからです。
また、専門家を自分が専門家を起用しなくても買い手はほとんどのケースで専門家を起用するので、その場合、劣勢になってしまうとも思いました。もし売主自身がM&Aに関する高い専門性もっているなら必要ないと思いますが、そうでなければ自分でやることは難しいと思います。
>他のM&A仲介会社ではなく、当社、M&Aトータルアドバイザリーを選んでいただいた理由は何ですか?
当初は他の大手M&A仲介会社を起用していましたが、仲介会社を起用したところでM&Aにおける譲渡価額は、「抽象度が高いところで決まる」という事実はあまり変わらないことが分かりました。かといって、仲介会社なしでM&Aを進めるが難しい事実も変わりはなかったので、であれば信用できる会社がいいと思ったから、M&Aトータルアドバイザリーの勝部さんにお願いすることにしました。
他のM&A仲介会社で特に感じたのは、「私や私の会社のため」というより、彼らのパッケージの中でディールを成立させようとする姿勢が強いというものです。具体的には、何かに理由をつけて売らせよう説得してきて、その意図が伝わってきたのが嫌でしたね。
その点、M&Aトータルアドバイザリーの勝部さんは、「別に嫌なら売らなくてもいいと思います」「(M&Aの条件等に関して)不満に思うことはありませんか」と正直に言ってくれたので、信用できると思いました。
>まだお若いですが、譲渡(M&A)をされた後の展望はありますでしょうか?
もっと規模の大きい市場でビジネスがしたいと思っています。具体的には飲食店向けの収益向上アプリケーションの「もぐー」というサービスを開発しています。これからも起業家としていろんな事業の開発に携わっていきたいです。
<アドバイザーのコメント>
ソールズベリー様が当社に本格的なご相談を頂く前に、他のM&A仲介会社様が100社以上にアプローチをされておりましたが、ご成約に至っていない状況でした。ロングリストの網羅性は十分だと思ったので、私の経験からすれば普通であれば成約していてもおかしくないと考えたのですが、お話しを聞くうちにアドバイザーが「対象会社の魅力」を引き出せていないことと、「交渉力がない」ことが原因だと分かりました。
諸事情で準備期間を短縮されたいとのご希望もあり、ソールズベリー様との密なコミュニケーションの結果、事業計画をゼロから策定し、普通のアドバイザーなら1ヶ月以上掛かると考えられるような準備を約48時間で完了し、すぐにM&Aプロセスに入ることが出来ました。
御多分に洩れずこのM&Aも紆余曲折を経てでの成約だったのですが、ソールズベリー様の満足のいく結果となり、私としてもとても嬉しく思います。
M&Aトータルアドバイザリー株式会社 代表取締役 勝部一志